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2010/05/17
都市型ライフスタイルに合わせたブランディング
The Urban Lifestyle
およそ20%もの人口減が、今後25年間で予想される地方都市。
地方都市の企業が生き残りをかけるのであれば、今後は東京圏に商圏を広げなければならないことは明らかです。
そこで障壁となるのが、都市型ライフスタイルへの対応。地方圏で売れていた商品も、東京圏で売るには、そこに住む人々の生活パターンに合わせなければ、振り向かせることはできません。
今回は、都市型ライフスタイルに合わせたブランディングについて考えてみたいと思います。
まず、消費材商品のほとんどが、女性主導で購買されている今の時代を、真正面から認める必要があります。
この傾向は、都市の中心部に近づくほど、顕著に表れています。
以前、大手自動車メーカーのマーケティング担当者と話した際のことです。
「自動車は、もはや女性が買うものだ」
やや肩を落としながら、彼は嘆いていました。
例えば、ある家庭で車を買う場合、旦那さんは2年も前から車雑誌やWEBを研究して車を選んでいるそうです。しかし、いざ買おうと思い、奥さんをディーラーに連れて行った所、
「そんなのイヤ。あたしはこっちがいい」
と言われ、奥さんが選んだ車で決まってしまうそうです。旦那さんの2年の歳月が、奥さんの一言で泡と消える瞬間です。
つまり、彼が言うには、購買の主導権は明らかに女性にあり、自動車メーカーは、いかに女性に気に入られる商品を作れるかが、売れ行きの鍵となっているのです。その傾向を示すように、現在のTVコマーシャルでは、車の性能を述べるよりも、使い勝手を説明するCMの方が、圧倒的に多く見られます。自動車雑誌に絶賛されるPRよりも、女性誌とコラボレーションする宣伝の方が、ずっと現実的なのです。物質的に豊かになった都市型ライフスタイルでは、よりファッション性が強く求められるようになっていると言えます。
したがって、都市型ライフスタイルのブランディングとは、『都市に住む女性』に絞り込んだ戦略であると言って良いでしょう。
そう考えますと、いかに『都市に住む女性』のお役に立てるか。これが商品開発のポイントとなります。
象徴的な商品として、近頃よく宣伝を見かける、マルコメの「液みそ」があります。
味噌が液体状になっており、お玉で溶かす必要のない味噌です。みそ汁を作った場合、従来品では3分かかるところ、10秒でできるそうです。
たった3分をケチる神経が理解できない方もいると思いますが、これが現代の都市型ライフスタイルです。日本の食文化を支えて来た味噌を、このような形で商品化することに賛否両論あると思います。が、今まで味覚しか研究してこなかった味噌業界において、使い勝手を進化させたという点では、私は素晴らしい『都市型ライフスタイルのブランディング』であると言って良いと思います。
現に、過去の弊社調査では、都市に住む30代の家庭の、およそ90%が夕飯にみそ汁を飲んでいることが分かっています。つまり、団塊ジュニアといわれるボリュームゾーンの大部分が味噌の購買層になる訳ですから、そこへのブランディングは、当然、「液みそ」のように使い勝手を進化させた提案になるはずです。
このようなケーススタディに沿って、多くの地方都市にある商品が、都市型ライフスタイルに変換可能です。
都市でしか売られていない、雪印の「切れてるバター」は、早くから都市型ライフスタイルに合わせたブランディングを行っている商品です。バターは固いので、力のない女性が切るには厄介です。しかも、日頃から爪や手を奇麗にしている女性は、バターに触りたくもありません。多少値段が高くても、「切れてるバター」を選ぶ女性は多いでしょう。このようなニーズが、商品の提案方法を変えました。原材料は同じバターでも、提案方法を変えるだけで、マーケットを広げることができるのです。
食品業界ひとつ取っても、全国には様々な生産会社があります。それらのメーカーが、「液みそ」のように女性向けに少し使い勝手を工夫したら、どれほど大きなビジネス・チャンスとなるでしょう。このような視点から見ると、地方都市は宝の山と言えます。伝統があり、品質に関しては申し分ない逸品ばかりです。
提案方法を企画し、都市型ライフスタイルに合わせたブランディングを行うことで、成熟かつ低成長な国内市場でも、まだまだ活路を開くことが可能であると言えます。





