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2011/05/24

ニュー・ラグジュアリーの時代

The New Luxury

高級ブランドへの支持が、急速に薄れてきています。
ウォールストリートジャーナルによると、ここ1年の間で、米国富裕層の高級ブランドへの意識が大きく変化していると論じています。高級ブランドが良いと応えた人が、昨年の51%から、今年は32%に大幅減少。金融危機に始まったアメリカ経済の不調は、ブランド市場の文化をも変えようとしています。


今回は、米国消費者の意識変化に見る、ニュー・ラグジュアリーの時代について考えたいと思います。


「不況後の世界。豊かさは変わる」
5月17日付けのWSJでは、このような見出しで米国消費者の行動変化を予測しています。行動変化の主な原因は、オバマ政権誕生以降のアメリカの経済停滞ですが、今回注目すべき点は、富裕層の行動変化です。金融危機の最中にも、家も仕事も失うことがなかった米国の富裕層。年間所得が$275,000(約2,250万円)のこの層でも、より賢い消費を心がける意識が浸透し始めています。


マーケティング戦略コンサルティング会社のハリソン・グループの調査では、富裕層を対象に「買い物時にクーポンを利用するか?」という質問に対して、2010年は32%のYesが、2011年では38%に増加しました。また「セール時期をあえて待つか?」という質問に対しては、同じようにYesが31%から38%に増加。「いつもより安いブランドを選ぶか?」という質問に対しては、昨年の17%から今年は20%と、着実に賢い消費を意識した答えとなっています。
また、高級ブランドが自分自身を引き立てていると考える人は51%から41%に減少し、スタイリッシュなデザイナー・ブランドを好んで買う人も51%から32%に大幅に減っています。これらの調査結果から言えることは、比較的金銭に余裕がある富裕層においても、従来のような『高かろう良かろう』的な消費に対して抵抗の意識が芽生えて来ており、ブランド市場の消費文化が大きく転換しようとする兆しが読み取れます。


ブランド市場の新しい消費文化は、既存ブランド企業における今後の勝敗を分けることになります。


値段が高いことが一つのステイタスになっている、従来の高級ブランドの未来は悲観的です。金銭的な見栄を張っている姿に魅力を感じられなくなった富裕層は、自分の納得のいく消費に転換するからです。日常生活における消費は、気兼ねなく買い物ができる商品やブランドにシフトするでしょう。お金を使う場合も、何から何までブランド品という物欲的な消費ではなく、生活の中身が豊かになるような精神的な消費が行われるようになります。したがって、有名ブランドは多額の広告費を伴うマスマーケティングから、ブランド本来のお得意様マーケティングに、戦略の変更が迫られるはずです。


一方、リーズナブルで高品質なミドルレンジのブランドにはチャンスが回ってきます。富裕層の目にかなうような、デザインを含めたある一定の商品品質をクリアしていれば、高級ブランドからの移籍組を勝ち取ることが可能だからです。このエリアのブランド企業にとっては、今回の消費意識の変化は間違いなく追い風となるわけであり、逆にマスマーケティングを活発化して積極的に攻めるべきであると言えます。


北米市場は、世界の消費文化の象徴です。
その地域で消費文化が変化するということの意味は、時間の問題で他の地域にも伝搬することが予測されます。そのような視点では、世界のブランド企業は、今後、来るであろうニュー・ラグジュアリー時代への移行という、大きな転換点を迎えつつあると言えるでしょう。

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